大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)3880号 判決

原審第二回公判調書の記載に徴すれば、検察官海老原茂は、所論の供述調書合計三通を刑事訴訟法第三百二十一条第二項に基く証拠書類として取調を請求した旨の記載があること及び本件記録には、荻原通に対する検察官作成の供述調書の謄本二通が編綴されていることは、洵に所論のとおりである。

しかし検察官海老原茂が前記供述調書三通の証拠調を請求した理由は、証人小林けさよ、同荻原通の証言は同人等が検察官の面前においてなした供述と実質的に異るので右供述調書の取調を請求するというのであることは該公判調書の記載に照し明らかであるから、右の請求は刑事訴訟法第三百二十一条第一項第二号に基きなされたものというべきであつて、該調書に同法第三百二十一条第二項に基く云々と記載したのは誤記と認むべきである。

しかして前記公判調書の記載に徴すれば、前記検察官は、前記各供述調書を順次朗読した上、小林けさよの分は原本を、荻原通の分は裁判所の許可を得てその謄本を提出したとの記載があるから、所論各供述調書はいずれもその原本にて証拠調をなした上、裁判所へ提出する書類はその許可を得て荻原通の分のみその謄本を以つて原本に代えたのであることが認められる。

しかして裁判所が右の許可をするについては被告人及び弁護人の意見をきくことは法律上の要件ではない。又原審裁判所が原本に代えてその謄本を受理するに当つては、その謄写の正確性を調査することは当然の義務であるから、公判調書にその旨の記載がなくてもその正確性を調査した上受理したものと認めるのが相当である。のみならず謄写の正確性を調査したこと或は裁判長が謄本の提出を許容したこと等は公判調書に記載すべき事項ではない。しからば原裁判所が適法に証拠調を経た荻原通に対する検察官作成の供述調書原本二通を証拠として判決に挙示したことは、洵に相当であつて所論のような違法はない。

論旨はいずれも理由がない。

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